つぶやき

日々のあれこれを気ままに綴っています。

譲らない

いつも肉類の買い物をするスーパーマーケットは、10万ルピア(今のレイトでは約900円)以下はカード支払いを受け付けてくれません。かつて、私も何回か不都合を感じたことがありましたが、店の規則とあれば仕方がありません。

冒頭からこんなことを書いたのは、今日こんな場面に出くわしたからです。

運よく豚肉のロース(?)のきれいな大きめの塊を発見した私は、上機嫌でトンカツ用に4枚だけ切ってもらい、残りは塊のままにして、そそくさとレジに向かいました。

タイミングよく今日は、私の前はすでに、レジ打ちが終わりかけている母娘の客一組だけでした。買い物の後は、ネットで購入した、山田洋次監督の「家族はつらいよ」を見る予定だったので、気持ちは焦っていました。
すぐに自分の番になると思っていたのに、レジの店員が品物の入った大きな赤い袋を母娘に渡しながら、
「すみません、まだ打ち忘れているものがここにありました」とレジ横から別の小さな袋を取り出しました。
すると、母娘連れは長いレシートをチェックして、エビならほらここにちゃんと支払いは済んでるわよ」
店員「いえ、エビではなくこちらの○○と○○代はまだ打ち込んでいません。」
客の方はしょうがないわねえという風で、納得して、残り分を支払おうとしていました。
待たされている私は、何が起こっているのか、事情を理解しようと少し真剣に状況を眺めはじめました。
まだトラブっているようで、レジの店員にさかんに、しかもきつい様子で母親の方が訴えていました。
「それはできません」と、若いレジの女の子は困り切った顔で、同僚を呼ぶからと、助けを求めるように呼び出しボタンを押していました。
おとなしく眺めていた私も、新鮮だった豚肉がこんなところでもたもたしていたら。。。というあせりと、いつのまにか、私の後ろにも数人の客が並んだのにも背中を押されて、
「待っている間に、こっちのレジ(レジは二台あったのですが、店員は一人という状態だったので)で、できないんですか?」と店員をせかしたら、「いいえ、そっちは使えません」とあっさり言われました。あきらめて、何が起こっているのか現状を分析すると、こういうことだったらしいのです。


レジを打ち忘れた分の母娘の買い物の総計は10万ルピア未満だったのですが、この母親はカード支払いにしてくれと言いはっていたのです。というのも、品物を一度に打ち込んでいたらゆうに10万は越していたわけですから、それを忘れていた店員に非があると責めていたのです。
店員は店員で店の規則を覆すことはできず、おそらく先輩格の同僚の応援をたのんでいるところだったのです。別の売り場の先輩格の店員がくるのを待っている間も時は刻々と過ぎ、私の選んだ豚肉の鮮度も刻々と劣化していきます。

こんなことは日本のレジではほとんどないことでしょうけれど、もし、この母娘が日本人ならすんなり引き下がって現金で支払うのではないかしら。。。
そこは華人、後ろに何人並んでいようが、横に立っている私があからさまに待たされ過ぎといった仕草をしていようが、全くおかまいなしで、表情も態度も変えません。
しばらく、待って、やっと先輩格の店員が来て、困り顔のレジの子が事情を説明していました。答えは勿論同じ、10万ルピア以上でないとカード払いは受け付けません。でした。それでも華人の母親はひきさがりません。粘っています。
もはや、日本人の奥ゆかしさを捨て去ってしまった私は、いかにもいまいましい表情で、
「待っている間に私の分を先に打ち込むことはできないの?」とレジの子に訴えました。レジの子は、前の客のものを打ちこんでしまっているので、どうにもならないと、

私の態度が影響したのか、それとも後ろに又人が並んだのが目に入ったのか、さすがの華人のこの母親も観念して、10万ルピア札を出しました。
「おいおい、手元にあったなら、早くそうしてよ。」と思うと同時に、こうやって人は環境に影響されて性格も変化していくんだろうなぁと、日本人っぽくなくなってしまったわが身が恨めしくなりました。

 

それにしても、譲らないというこの意地、わからないなぁ。

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